第十三番 旗下山 慈眼寺 (曹洞宗) 08.10.20


秩父札所巡り3日目、『秩父三十四カ所を歩く』の3日目の行程は、札所12番から18番まで。約7.8キロ、2時間コースとなっている。
日付を見れば判るのだが、我々は「第一番四万部寺」から順に回ってきたのではない。
実は、今日、10月20日が巡礼初日なのである。
10月2日、「満願の湯」に入って、「秩父札所」を回ろうかと思ったあの日、「第一番」から「第七番」まで駆け足で通り抜けた。
一度参拝したことのあるコースを、日を置かず、再び回るのは気が進まず、初日のコースとして、第十二番から第十八番のコースを選んだというわけである。
さらに付け加えるならば、2回目は第十九番から第二十四番まで。
第一番から第五番までのコースを歩いたのは、3週目の11月5日のことだった。
いつものように7時半池袋発の特急に乗り、8時58分「西武秩父駅」に到着。
今日の出だしは「第十三番慈眼寺」から。
「西武秩父駅」から「秩父鉄道御花畑駅」への連絡通路は面白い。
まるで民家の軒先を歩くような感じの小路を行くと、秩父鉄道の線路があり、線路を越えたすぐ右に「第十三番慈眼寺」はある。

9時過ぎに寺について参拝、十句観音経や般若心経を唱えるのだが、付属幼稚園の登園時間と重なって、甲高い声の喧騒の中での読経となった。
子どもたちの声が一段落したと思ったら、送ってきた母親たちの立ち話の輪がいくつか。
屈託ない笑い声が耳障りだ。
しかし、考えてみれば、境内に巡礼者の姿があるのは、彼女たちにとって日常的なことだろうから、殊更、声をひそめる方が不自然かもしれない。

一切経蔵の内部には、六角輪蔵があり、一切経1630巻が収められている。
赤白の紐を引いて、輪蔵を回しながら祈念すれば、一切経を読誦したと同じ功徳があるという。
なにやら、チベット仏教のマニ車と同じで、ものぐさ思想が共通点だ。
その一角にあるのが「十三権者」の彩色像。
「十三権者」とは、秩父札所創建に携わったと説話で伝えられる十三の神仏や人物のこと。
善光寺如来、蔵王権現、熊野権現、閻魔大王、倶生神、妙見大菩薩、性空上人、医王上人、通観法印,白河法皇、花山法皇、徳道上人、良忠僧都が文暦元年(1234)初めて秩父巡礼をしたというのだが、信じるものは皆無だろう。
実在の人物と神仏が混在して、とても史実とは言いがたい。
ただ、性空上人や花山法皇、閻魔大王などは西国札所成立縁起の登場者であり、秩父札所が西国札所に端を発していることを仄めかしていると見てもよさそうだ。
蔵王権現や熊野権現、妙見大菩薩は、秩父札所が武甲山を中心とする山岳信仰とも深い関わりがあることを示している。

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