道標が三つもある。
親切なことだが、同じところへ立てるのはどうしてなのだろうか。
考えても分からない。
「第八番西善寺」を出て、急坂を下ると御嶽神社里宮がある。
かつて武甲山頂上にあったが参拝者の便を図ってここ根古屋に移された。
写真左の建物が神社。
正面の民家のような建物は社務所か。
右手の木に囲まれて、神楽殿がある。
御岳神社の春と秋の神楽は有名だが、
その神楽の観客席は社務所の大広間。
北京「故宮」の「楽寿堂」を連想させる。
大好きな京劇を寝ながら観るために、
舞台を居室のまん前に造らせた、
あの西太后の発想になにやら似ているような、似てないような。
道路沿いのビニールハウスで何かが弾ける音がする。
蕎麦の脱穀中だった。
半世紀も前の脱穀機が現役なのには驚いた。
秩父観光の目玉のひとつは、手打ち蕎麦。
消費量の増加に伴い、地元そば粉の需要も高いが、作付け面積58haではとても賄いきれない。
秩父の蕎麦屋で手繰る蕎麦の原産地は、外国と思ったほうがよさそうである。
ビニールハウスの道路を挟んで反対側の農家の二階は出っ張っている。
かつての蚕室だろう。
風通しが良く、湿度の低い屋根裏部屋が蚕室に当てられた。
蚕が桑の葉を食べる音が、聞こえてきそうだ。
「秩父絹」は江戸時代からこの地方の主力生産品だった。
秩父銘仙として知られている。
今はわずか27戸の養蚕農家を数えるのみらしい。
産業としては成立していないから、文化としての絹織物技術を保存していることになる。
観光果樹農園の間をのんびり歩いてくると川にぶつかる。
その川の流れ行く先の山の中腹に赤い幟がはためいている。
そこが「第六番卜雲寺」である。
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