第十九番 飛淵山 龍石寺 (曹洞宗) 08.10.27
















「第十九番龍石寺」は一枚の岩盤の上に建っているのだそうだ。
そう言われれば、敷地がデコボコしている。
普通なら整地するところをデコボコのままなのは、整地できない岩盤だからだろう。
凹みのいくつかには水が溜まっていた。
そうした感じを写真に撮りたかったのだがうまく撮れなかった。
大体、写真がみんなピンボケである。
接写に設定したまま撮り続けていたらしい。








当寺には悪龍伝説があった。
観音信仰札所だから、その悪龍は観音さまによって追放されるのだが、ここでの悪龍は荒川の洪水を意味するのだと、河野善太郎氏は著書『秩父三十四札所考』で述べている。
悪龍を追放するということは、洪水の被害をなくすことであり、それは治水技能や知識を有していた回国修験者の指導によるものであった。
彼らは観音信仰の功徳を説き、加持祈祷を行うとともに治水の具体策を教えたのであった。
「第十九番龍石寺」の本尊千手観音は弘法大師の作と伝えられている。
秩父札所には、行基作の本尊も何体かある。
弘法大師も行基も治水工事や橋の建設を近畿や四国各地で繰り広げた。
そうした言い伝えが秩父にも波及して、寺伝のどこかに名前が記されるようになった。
そう河野氏は推測する。
秩父札所創設と弘法大師では時間差がありすぎて、とても史実とは言えないから、あくまでも願望を込めた人々の想像の産物なのである。

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