第二十七番 龍河山 大淵寺 (曹洞宗) 08.11.11


護国観音からひたすら斜面を降りてゆく。
やがて木々の間に方型の屋根が大きく見えてくる。
「第二十七番大淵寺」の観音堂、通称月影堂である。
どの案内書にも月影堂の裏の斜面はカタクリの群生地だと書いてあるが、植物に全く無関心なので、探してまで写真を撮ろうとしなかった。
3月下旬には可憐な花が一斉に咲きそろうのだそうだ。








右の写真を見れば分かるが「第二十七番大淵寺」の境内は、ゴミひとつなく、清潔できちんとしている。
建物の配置やアプローチも工夫が凝らされていて、絵になりやすい。
月影堂への石段は直線ではなく、わざとカーブさせてある。
赤い幟の視覚的効果も計算済みなのではないだろうか。
月影堂自体も平成8年の再建だから、まだまだ新しさを保っている。
他のお堂と何かが違うな、と思った。
何が違うのだろう。
見つめていて気がついた。
どのお堂でもべたべた張られている千手札がここには一枚もない。だからすっきりとした端正な佇まいがストレートに感じ取れるのだ。

このお堂の脇に護国観音遥拝石なる石があり、その石に立つと山上の護国観音の顔を拝することができるそうだが、石の存在を知らなかったので、境内から護国観音を撮影した写真はない。
遥拝できるように木々を伐採してあるのだから、もったいないことをした。
そうした場所があることを知らせる案内板があればいいのにと思う。









左は観音堂真裏の不動明王2体。
右は寺へ降りる斜面にあった。
不動明王ばかりだが、何か理由でもあるのだろうか。














飲めば33カ月長生きするという延命水の場所も凝っている。
中央に観音様、左右に石を配し、右の石の窪みに竹筒から水が滴り落ちる仕掛け。
「観音山延命水」の表示と由来の立て看板も怠りない。
つつじやモミジもある。
境内全体を印象的に見せる演出家的デザイナーがいるのではなかろうか。

どこを撮っても絵になるから、ついつい写真が増えてしまう。
モミジそのものは自然美だが、どこに配すかでその価値は異なってくる。
この紅葉の美しさは、従って人工的に計算された美しさだといっていい。
10月半ばから始めた札所巡りだが、やっと11月の中旬になって、紅葉が被写体となった。

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