第十二番 仏道山 野坂寺 (臨済宗) 08.10.20


桜並木の参道を行くとクラシックな山門がある。
火災から難を逃れた古建築で寛保元年(1741)の建造物だそうだ。
内部の両側には十王が並んでいる。
今の子ども達は地獄の何たるかを知らない。
古臭い、ユーモラスな人形だと思うのだろうか。
地獄を知らないということは極楽を知らないことでもある。
現世が極楽みたいなものだから、ことさらイメージする必要がない。
宗教が廃れるわけである。








山門を出ると正面に本堂。
こじんまりとした札所ばかりを歩いてきたから、境内の広さが際立つ。
本堂の右手後方には墓地が広がっている。
この寺の後背の山中に長享の札所番号五番の野坂堂があった。
これとは別に野坂寺があり、観音堂を今の地に下ろして合併したのが「第十二番野坂寺」である。
かつての観音堂跡地には、お地蔵さんが立っているそうだが、このお地蔵さんを観音さまと考えると修験者が山中巡業しながら祀り、拝んだ観音信仰の原型がそこにあったように思われる。
修行僧の信仰形態が庶民へと広がっていったのが秩父札所であった。
本堂に上がる。
裏庭の庭園は手入れが行き届いて気持ちよい。
欄間には札所の水墨画が34枚掛けられてあった。
この日も14時25分の特急「アロー号」で帰宅。

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