第三番 岩本山 常泉寺 (曹洞宗) 08.10.30


寺に向かう道路の両側は水田と畑。
低い山に囲まれて寺はある。
実にのんびりとした風景で、締りがない風景だとも言える。。
国家護持の色彩の強い寺ばかりの西国や坂東札所に比べて、「秩父三十四所」はこじんまりと庶民的であるとよく言われるが、ここ第三番札所や「第五番語歌堂」などは、その感じがよく出ている。
開けっぴろげで、囲い込むことがない。
当然、山門もない。

「秩父三十四所」の設立は、熊野山岳信仰と関係があったされる。
この「第三番常泉寺」も例外ではない。
「常泉寺」のご詠歌は「補陀落は岩本寺と拝む可し 峰の松風ひびく滝津瀬」である。
これは西国札所一番・那智山青岩渡寺のご詠歌「補陀落や岸うつ波は三熊野の那智のお山にひびく滝津瀬」と酷似している。
本地垂迹説によれば、那智宮の祭神は千手観世音であり、那智山は観音信仰の中心であった。
一方、「常泉寺」が当地に移る前の土地、松ノ木沢は、山、沢、滝があり、熊野系山伏の修験場であり、山伏たちは観音を奉祀していた。
那智山との接点は、こうして誕生した。
補陀落には、海のかなたの聖地というイメージがある。
秩父盆地の中で、人々はどこに補陀落のイメージを求めたのだろうか。

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