第二十二番 華台山 童子堂 (真言宗) 08.10.27


観音堂では、丁度、団体が参拝中だった。
農協婦人部ご一行と見受けたが、十句観音経、般若心経、回向文を全員暗記して唱えていたところを見ると、観光より信仰にウエイトがかかった団体のように思える。
一人や二人連れの巡礼には会ったが、こうした団体は初めてのこと。
興味を持って見ていたのは、参拝の手順。
我々は、まず「南無至心帰命頂礼 十方法界一切三宝」を三回唱え、懺悔文を三遍、そして開経偈、回向と祈念文を読み上げ、般若心経と光明真言を唱え、続いてご本尊真言を三偏、さらに十句観音経を三遍、「南無大慈大悲観世音菩薩」を三遍繰り返してから最後に回向文で締めくくっていたが、その順序がこれで正しいのか誰に確かめることなくこれまでやってきたので、いささか不安な気持ちであった。
しかし、彼らは十句観音経と般若心経、回向文だけしか唱えなかったので、参考にならなかった。
ご詠歌も出来れば詠いたいと思い、どなたかが詠っていればマネをしたかったが、とうとう最後までご詠歌を聞くことはなかった。










お堂の彫刻が見事である。
彩色が剥げ落ちているばかりでなく、木目が浮き出て、その迫力ある風格には年代を感じざるを得ない。

秩父札所には必ず大絵馬が掲げられている。
寺やお堂の開基にまつわる縁起や本尊の霊験を描いたもので、ネタ本は『秩父観音霊験記』。
余りにも内容が荒唐無稽で史実から離れているので、これまで一度も取り上げなかった。
例えば「第二十二番童子堂」の絵馬の内容はこうだ。
「讃岐国に欲深長者がいた。ある時、旅僧が一食の布施を頼んだところ、『乞食坊主にやる米などあるものか』と追い払おうとした。
すると傍にいた長者の息子が犬になってしまった。
長者は驚き僧に許しを乞うたが、僧は『私の力ではない。御仏の罰である。日本百観音を巡礼しながら一心に祈りなさい』という。
長者は犬になった息子とともに西国、坂東を回り、秩父の22番まで来たとき犬は元の息子の姿に戻ったという」。
現代人の我々は、そんなバカなと一蹴してしまうが、昔の人たちは観音様の霊験としてまじめに受け取っていたはずである。

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