第十六番 無量山 西光寺 (真言宗) 08.10.20









秩父神社の前の通り299号を右折、まっすぐ進む。
郵便局を右に曲がるとそこが「第十六番西光寺」の入り口。
左に幼稚園があるから、甲高い子どもたちの声で賑やかだ。
禅宗が9割の秩父札所にあって、「第十六番西光寺」は真言宗である。
境内には、当然、弘法大師の立像がある。








そして、何よりも真言宗寺院らしいのは、本堂に向かって右手コの字型の回廊堂。
細長い回廊には、四国八十八ケ所の本尊摸刻が一堂に会している。
このお堂の中の八十八の本尊をお参りすれば、四国八十八ケ所を回った御利益があるというのが売り文句だ。「西光寺」のご詠歌は「西光寺誓ひを人に尋ねれば、つひの住家は西とこそ聞け」となにやら浄土宗の匂いがしないでもない。
何時の頃か、浄土宗から真言宗に転宗したということか。














回廊堂に囲まれたように立つ二つの建物の左側、弘法大師像の後ろの建物が「札堂」。
この堂は秩父札所中最古の遺構と言われ、堂内からは江戸期の納札(木札)数百枚が出てきた。
札堂の土中から発見された納札で完全な姿を残していたのは96枚。
貞亨(1684-87)から天保(1830-43)の約150年間の巡礼者の故国は、武蔵、下総、上総が主で中でも江戸が55枚と圧倒的に多い。
遠国としては、伊予今治の僧侶、長崎の商人などがある。
納札から巡礼者の故国を探る調査では、「西国二十六番一乗寺」に残る古納札調査があるが、それによると関東からの巡礼者は元禄(1688-1702)の頃から減少の一途を辿っていることが分かっている。
西国巡礼の代わりに、行程日数が少なくてすむ秩父巡礼が人気となってきたからであろう。














「札堂」の柱には無数の釘跡がある。
巡礼たちが木札を打ちつけたあとである。
札所を巡礼して回ることを「打って回る」と言うのは、ここから来ている。

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