3・常泉寺ー4・金昌寺 08.10.30


古い道標と並んで、新しい案内もある。
「江戸巡礼古道」と表示されている。
平成20年の3月から7月まで、「秩父三十四所」では日本百観音霊場報恩総開帳が行われ、秘仏の本尊が公開された。
12年ぶりのことである。
それに合わせて、江戸時代の巡礼道を整備した。
私たちは、この古道をできるだけ歩くことにしたが、舗装されていない畦道や沢道ばかりで、木の枝が行く手をさえぎり、道とはな名ばかりの泥濘で歩くのも難儀な部分が少なくなかった。
その分だけ、野趣に富んでいるということも出来るのだが。













しばらく行くと横瀬川にぶつかる。
橋の袂に「民話 お止めはし」の看板がある。
むかしむかし、大雨のあと親子の巡礼が、ちちぶ札所三番より四番寺へむかう途中、横瀬川を渡ろうと急さかを下り、橋のたもとにたどり着くと雨上がりの川は水かさをまし、橋を流さんばかりに「ゴーゴー」と流れておりました。二人はこの橋を渡ろうとしたところ、風が心地良く吹き、その風の音のなかに「渡るな、渡るな」という声が聞こえて来る気がいたしました。不思議に思い二人がふと立ち止まると川上より大きな木が根ごと流れてきて、「あー」という間に橋は流されてしまいました。命拾いした巡礼の親子は、あの声はきっと観音様が私たちを助けてくれるための声だったとおもわれて、改めて観音様のお救いに感謝のお祈りをしました。という話が村中に伝わり、何時とはなしにこの橋を「お止めはし」と呼ぶようになりました。平成の「お止めはし」を渡る時にも、観音様をお祈りしながら渡ると、きっと観音様のご功徳をたくさん頂けると思います。合掌

橋の欄干の模様も二人の巡礼姿。なかなかしゃれた橋なのである。

橋を過ぎると左に祠。
3体の石仏が祀られている。
2体は如意輪観音、1体はお地蔵さん。
予想していたよりも秩父には石仏は少ないようだ。
開発が急激に進んだ為かも知れない。
捨てられるべき運命の石仏が、こうして集められ、祠に安置されているのを見るとほっとする。
生花も供えられている。
信心深い住民がいる証左でもある。

「第四番金昌寺」のすぐ手前にある大きなお屋敷は、故荒船清十郎氏の家。
男荒船清十郎と表記した方が分かりいいし、本人も喜ぶかもしれない。
運輸大臣就任時、選挙区の深谷駅に急行を停めるよう指図したことで有名だが、地元の利益を優先する、一昔前の典型的自民党大物議員である。
歌舞伎役者まがいの名前と憎めないそのキャラクターは、70代以上の日本人には記憶されているはずである。

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